第7回チーム医療推進学会開催にあたって

第7回チーム医療推進学会大会長 横地 常広
(一般社団法人日本臨床衛生検査技師会 代表理事会長)
チーム医療推進学会は、2020年を第1回とし、今回の開催で第7回となります。
今回の学会テーマは、医療界だけでは語れない「認知症予防についてーチーム医療の観点からー」といたしました。
急速な高齢化の進展に伴い、我が国の認知症患者数は増加し、厚生労働省の調査によれば、令和4年の認知症の高齢者数は約443万人(有病率12.3%)、軽度認知障害(MCI)の高齢者数は約559万人(有病率15.5%)と推計され、その合計は約1,000万人を超え、高齢者の約3.6人に1人が認知症またはその予備群といえる状況にあります。 また、令和22年(2040)年にはその人数が約1,200万人(認知症約584万人、MCI 613万人)となり、高齢者の約3.3人に1人が認知症またはMCIになると見込まれています。
病院の中では、認知症はもとより、他の疾患による受診で医療従事者と接触する機会がこれまで以上に増加していくことが見込まれます。患者さんや家族の方々への対応には、各メディカルスタッフの専門的知識と技術の進歩を土台としながら、患者さんの意思を尊重した多職種の連携による医療を展開する必要があります。
また、認知症に関する予防医学は、社会的な関心を集めており、認知症の人が尊厳を保持しつつ希望を持って暮らすことができるよう「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」が令和5年6月に成立し、令和6年1月より施行されました。
この基本法による認知症施策基本計画は、国民の理解、保健医療・福祉、相談体制、研究、予防、多様な主体の連携を含む12の項目の基本的施策により構成され、全国的に取り組むこととされています。
このような背景と当会が実施している認知症領域検査の認定制度も10年程度経過し、多数の会員が取得したことから、この学会テーマを設定させていただきました。
今回の学会では、多職種連携により認知症に対する予防、検査、治療、患者さんへのサービスの向上に繋げることができればと考えております。学会の内容は、認知症予防について御高名な浦上克哉先生(鳥取大学医学部保健学科認知症予防学講座教授)に特別講演をいただくとともに、チーム医療・多職種連携等に関する一般演題を公募致しました。基調講演は、認知症の患者さんと支援されている方からご講演をいただくこととしております。シンポジウムは「チーム医療で行う認知症の診断と支援」をテーマとしており、幅広い情報を得ることができると思います。
多くの皆様のご参加をお待ちしております。
最後に本学会の開催にあたり、チーム医療推進協議会の上田克彦代表をはじめ関連団体の多くの皆様にご支援とご協力を賜りましたことに心より感謝申し上げます。

